障害年金とは | 社会保険労務士古川事務所

障害年金とは

障害年金とは

病気や怪我等で障害が生じたときに支給される年金を「障害年金」といいます。年金というと老後に受け取るものというイメージがありますが、現役世代でも病気や怪我等で障害が生じれば年金を受け取ることができます。あらゆる病気や怪我が障害年金の対象になります。

 

対象疾病例

障害年金の対象となる疾病の一部を列挙すると以下のようになります。

眼の障害 白内障、緑内障、眼球委縮、ブドウ膜炎、網膜色素変性症、両人工的無水晶体眼など
聴覚、鼻腔機能、咀嚼・嚥下機能・言語機能の障害 メニエール病、突発性難聴、感音性難聴、内耳障害、外傷性鼻疾患、喉頭摘出術後遺症、上下顎欠損など
肢体の障害 脳卒中、脳梗塞、重症筋無力症、関節リウマチ、人工関節、脊髄損傷、進行性筋ジストロフィー、変形性股関節症、変性症膝関節症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など
精神の障害 統合失調症、躁うつ病、うつ病、てんかん、発達障害、知的障害など
呼吸器疾患による障害 気管支喘息、間質性肺炎、肺線維症、肺結核、肺がんなど
心疾患による障害 狭心症、心筋梗塞、拡張型心筋症、高血圧性心疾患、ペースメーカー 他
腎疾患、肝疾患、糖尿病による障害 慢性腎炎、人工透析、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、肝がん、肝硬変、多発性肝膿瘍、糖尿病、糖尿病性と明示されたすべての合併症 他
その他の障害 難病、悪性新生物(ガン)、慢性疲労症候群、化学物質過敏症、膠原病、脳脊髄液減少症、線維筋痛症 他

 

障害年金受給のための3つの条件

障害年金を受給するためには、以下3つの条件を満たしている必要があります。

@初診日要件
A保険料納付要件
B障害程度要件

 

@初診日要件とは
国民年金、厚生年金、共済年金の加入期間中に、現在の障害の原因となった傷病について医師や歯科医師の診療を受けていることが必要です。
「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」を「初診日」と言いますが、この「初診日」に、どの年金制度に加入しているかでもらえる障害年金の額が変わってきますので、「初診日」はとても重要です。

 

初診日時点で20歳前(厚生年金保険加入中の方を除く)や国民年金被保険者、または国民年金に加入したことがある60歳から64歳までの方(日本国内に住所を有している方)は障害基礎年金の対象となり、厚生年金保険加入中で65歳未満の方は障害厚生年金の対象となります。

 

A保険料納付要件
以下のいずれかに当てはまればAを満たします。

  1. 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの国民年金の被保険者期間のうち、保険料納付済み期間と保険料免除期間(学生納付特例、若年者納付猶予を含む)を合計した期間が3分の2以上あること。
  2. 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納がないこと(令和8年3月31日までの特例)

 

B障害程度要件
 障害認定日(※)時点で、「障害認定基準」に該当する障害状態にあると認められた場合にBを満たします(障害認定日後に障害状態が重くなり該当した場合も可)。詳しくは、日本年金機構のホームページに掲載されていますので、そちらをご覧ください(障害認定基準)。大まかな基準としては以下のように示されています。

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものである。

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。この日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。
例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。

3級

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。(「傷病が治らないもの」については、第3の第1章に定める障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても3級に該当する。)

障害手当金 「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。

 

※障害認定日とは
原則以下いずれかの日を言います。

@ 初診日から1年6ヶ月を経過した日

A 初診日から1年6ヶ月経過前に傷病が治った(症状が固定した)場合(※)は治った(症状が固定した)日
B 20歳前に初診日がある場合は、@又は20歳の誕生日前日のうちどちらか遅い日

 

※傷病が治った(症状が固定した)場合とは
障害認定基準では以下のように定義されます。

器質的欠損もしくは変形または機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、または、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待しえない状態に至った場合をいう。

 

例外として、上記以外で初診日から1年6ヶ月経過前に障害認定日と認められる場合があります。

a.咽頭全摘出
 :摘出した日
b.人工骨頭、人工関節を挿入置換した場合
 :挿入置換した日
c.切断又は離断による肢体の障害
 :切断または離断した日
d.脳血管障害による機能障害
 :初診日から6ヶ月経過後の症状固定日
e.在宅酸素療法
 :在宅酸素療法を開始した日(常時使用の場合)
f.人工弁、心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)
 :装着日
g.心臓移植、人工心臓、補助人工心臓
 :移植日または装着日
h.CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)
 :装着日
i.胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により人工血管(ステントグラフを含む)を挿入置換した場合
 :挿入置換日
j.人工透析療法
 :透析開始日から3ヶ月を経過した日
k.人工肛門造設、尿路変更術
 :造設日または手術日から起算して6ヶ月経過した日
l.新膀胱造設
 :造設日
m.遷延性植物状態
 :状態に至った日から起算して3ヶ月を経過した日以後

 

 

障害年金でもらえる金額

障害基礎年金(年額/令和2年度)
  • 1級:781,700×1.25(+子の加算)
  • 2級:781,700(+子の加算)

 

<子の加算>
受給権者に以下いずれかの子がいる場合は、年金額に加算がされます。

受給権者に生計を維持されている18歳到達年度の末日までにある未婚の子
受給権者に生計を維持されている20歳未満で障害等級1級又は2級に該当する未婚の子

 

<加算額>

1人目、2人目の子 1人につき224,900円(令和2年度)
3人目以降 1人につき75,000円(令和2年度)

 

障害厚生年金(年額)
1級 報酬比例の年金額×1.25(+配偶者の加給年金額)
2級 報酬比例の年金額(+配偶者の加給年金額)
3級 報酬比例の年金額(最低保証額586,300円)

 

<配偶者の加給年金>
受給権者の障害状態が1級又は2級に該当するときに、その受給権者に生計を維持される65歳未満の配偶者がいる場合加給されます。ただし、以下の場合は配偶者の加給年金は支給停止されます。

配偶者が一定の老齢厚生年金、退職共済年金または障害年金を受けられる時
配偶者の年収が850万円以上の時

 

障害手当金

初診日から5年以内に症状が固定し、3級の障害より軽度の障害が残った場合に支給されます。一時金で支給され、額は3級の障害厚生年金額の2倍です。最低保証額があり、令和2年度は586,300円です。

 

障害年金の申請に必要な書類

申請に必要な書類はおおまかに以下4点となります。

@受診状況等証明書
A診断書
B病歴・就労状況等申立書
Cその他

 

@受診状況等証明書
初診日を証明する為の書類です。「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた」病院で作成を依頼します。

 

A診断書
障害状態を審査するうえで最も重要な書類が診断書です。全部で8種類あります。

 

B病歴・就労状況等申立書
 @Aは医師が作成する書類ですが、Bは申請者自身で作成する書類です。初診までの経緯(知的障害・発達障害・先天性疾患の場合は出生後から)から現在に至るまでの経過について下記項目を中心に書いていきます。

・受診医療機関、受診期間、治療内容、転院理由等
・就労歴(仕事の内容、休職や退職があればその理由)
・学歴
・病状や日常生活の困難さ

 

Cその他
その他の書類について一覧を示すと以下のようになります。

・裁定請求書
・戸籍謄本
・戸籍の附票
・住民票
・(非)課税証明書
・学生証写し
・障害者手帳写し
・預金通帳写し
・キャッシュカード写し
・レントゲン写真
・年金裁定請求の遅延に関する申立書
・障害給付 請求事由確認書
・障害年金の初診日に関する調査票

※必ずしも全ての書類を揃える必要はなく、この中からその人の申請条件によって必要な書類を提出します。自分で調べて用意することは簡単ではありませんので、わからない場合は、年金事務所に相談し、確認してください。

 

請求(申請)方法

認定日請求

障害認定日から1年以内に申請する請求方法です。障害認定日から3ヶ月以内の障害状態について作成された診断書(障害認定日が20歳到達時の場合は、前後3ヶ月以内の診断書)が必要です。
また、障害認定日から1年を過ぎた後に請求する場合は、上記診断書に加えて、請求日以前3ヶ月以内の診断書が必要です。

 

事後重症請求

障害認定日時点では障害等級に当てはまる障害状態ではなかったものの、後に障害状態が悪化し、障害等級に当てはまる状態となった場合の請求方法です。

 

こちらは、請求日から3ヶ月以内の診断書が必要です。請求ができるのは、65歳に達する日の前日(65歳の誕生日の前々日)までとなります(老歴基礎年金を繰り上げ受給した場合はその時点で請求できなくなります。)。

 

申請先

障害基礎年金(初診日時点で国民年金に加入していた場合)

  役所の国民年金取り扱い課または住所地を管轄する年金事務所

障害厚生年金(初診日時点で厚生年金保険に加入していた場合)

  年金事務所

障害共済年金(初診日時点で共済年金に加入していた場合)

  各種共済組合(複数の共済組合に加入していた経歴がある方は、最後に加入していた共済組合にお問い合せ下さい。)

 

 

 

 

 

 

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